露文卒でジョージア人配偶者の私が「旧ソ連」という名称の使用について考えてみた
こんにちは★ 宵宮エメです。
本日はソ連最高会議がソ連の消滅を宣言した12月26日なので、改めて「旧ソ連」という名称について考えてみました。
旧ソ連的要素というと、私は露文科卒で、現在ジョージア人と結婚している日本人で、修士論文は南コーカサス(それこそ旧ソ連諸国)出身者の調査をした経験があります。
またロシアに留学経験、アルメニア&ジョージアに調査云々での滞在経験あります。
一応、交友関係で言えば、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、モルドヴァ、リトアニア、アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージア、ウズベキスタン、カザフスタンの出身者の友人&知人がいるため、一般的?な日本人の中では旧ソ連諸国の知識がある方かと思います。
ちなみにこの記事の執筆の動機は、2019年くらいからシュクメルリ定食の発売やSNSの大使館のまめな広報活動の結果、ジョージアの知名度が上がり、ロシアのウクライナへの侵攻によってロシア以外の旧ソ連諸国に注目が集まっていると感じたからです。
また私自身が学生時代(2010年代前半)に敢えて「ロシア以外の旧ソ連諸国」を対象に調査していたことがあり、その際にも「旧ソ連って名称はどうよ?」ってさんざん考えたことがあるからです。
で、先に結論を申し上げますと、
今以上に今後は旧ソ連であることを言う必要がない場面で、敢えて付けることに対して嫌悪感を示される可能性は高い。しかし、ソ連だったということは歴史的事実である。
です。
ジョージアの説明で例を挙げますと
・(冒頭から)この国は旧ソ連のジョージアです→×
・この国はジョージアです。ジョージアはソ連という国だったので、同じくソ連だったロシアやウクライナと一部の歴史を共有しています。このような以前はソ連だった国を旧ソ連(諸国)ということがあります→◎
つまり「必要ないのに、旧ソ連ってつけるんじゃねぇ」ってことですね。
ジョージアにしろ、ウクライナにしろ、相手の国を尊重したいのならば「不必要に」旧ソ連という枕詞をつけなくてもいいということです。
そして何によりも喜ばしいことは、旧ソ連とつけなくてもこれらの国々に対する知名度や理解度、関心が日本で高まっているという証拠でもあります。
個人的経験において、2020年以前(特に2017年より前)だと、旧ソ連ってつけないとアメリカのジョージア州とダブってしまうから、否応なくつけることが多かったですが。
※話はそれますが、、大学時代に出席した国際交流のイベントで、ジョージア州出身のロシア語が上手いアメリカ人の留学生のプロフィールシートを見た時は焦りました…w
ただし、あくまで「必要もないのにつけない方がいい」のであって、旧ソ連という名称/単語そのものの使用に対して、めくじらを立てることに対して私は違和感があります。
その文脈において言う必然性があるのに「ウクライナやジョージア旧ソ連と言うな」と言うのは不自然である。言葉狩りか場合によっては歴史修正主義ではと疑われても仕方ないのではないでしょうか。
※参照:ジョージア大使館の声明
「旧ソ連諸国」以外の名称はないのか
ちなみに旧ソ連以外で、該当諸国を指す近い名称はいくつかございます。
NISやCIS、GUUAMなどですね。
一応略語の説明をしておきますと、NIS(諸国)はNew Independent Statesの略称でロシア以外の旧ソ連諸国のこと、CISはCommonwealth of Independent Statesの略称で1991年にソ連から独立した国々の中でバルト三国以外で結成された国家共同体のこと、GUUAMはジョージア・ウクライナ・ウズベキスタン・アゼルバイジャン・モルドヴァの旧ソ連の中でアンチロシアよりの諸国によって構成された国際機関のことです。
ただし、CISは後程ジョージアとウクライナが脱退し、GUUAMはウズベキスタンが抜けてGUAMになっています。
ロシア以外の旧ソ連諸国というときはNISが一番適切なのですが、最近あまり見ない気がします…(あくまで個人の感想です)
次点でロシア語圏もありですが、国によってロシア語が理解できる人の差が激しく、ロシア語話者が元々少ない国の場合は若者を中心に減っているので、そのうちロシア語圏とは言えなくなる気もします。
現にジョージアの場合は、現在ロシア語は選択科目の一つであり、必修ではありません。
ソ連のフルシチョフ時代以降は出世でロシア語を学ぶことが必須でだったので、例え非ロシア語母語話者でもエリートほどロシア語ができる傾向があるものの、彼らの多くは現在では高齢者なので…(-_-;)
民族公用語としてのロシア語について書くと長くなるので、いつか別の記事か動画として紹介したいですね。
ちなみに、この名称については私も修士論文執筆中に散々悩んで指導教員に相談した結果、やはり「旧ソ連諸国」になりました…。
最後に、(該当地域に関心のある日本人以外の)一般人に対して「旧ソ連の〜」という枕詞が不要になってきているのは、よいことと私は考えます。
ある意味、世界的に見てソ連が過去の時代のものになり、各国が真の意味でソ連とは違う独立国として歩みだしているのだと感じます。
しかし、もしそれが世界の流れであるのならば、ウクライナやジョージアの独立を阻み、敢えて逆行しているように見えるプーチン率いるロシアは如何なものだろうか。