お勧めのコーカサス本紹介「コーカサス―ロシア文学揺らんの地を訪ねて 」

こんにちは★

宵宮エメです。

しばらくの間、毎週2-3回は東欧関係の書籍をネタバレをしすぎない程度の書評を書きます。

ちなみにプロパガンダや忖度は嫌いなので、私自身の率直な感想です。


今回紹介するのは

です。

著者の大谷深氏は天理大学の教授だった方で、ジョージア中世文学の最高傑作ともいえるルスタヴェリの「豹皮の勇士」の逐語訳の翻訳者でもあります。

ちなみに絶版なので、北コーカサス好きにはある意味超貴重書ですが、2023年12月27日時点で見ると、プレミア価格ではないようです。
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本書は著者がコーカサス(カバルタ・バルカル、オセチア、グルジア/ジョージアが主)を旅し、その地域に関係する文学的な話(プーシキンやトルストイの作品)を付随したものです。
ソ連時代なので、一部地名が今と違う(ウラジカフカス>オルジョニキーゼ、など)のには注意が必要ですが。

で、なぜ私がこの本を「超貴重」と称したのかといいますと、 2023年時点でこれらの地域は日本人が行くのは面倒かつソ連末期のある意味最近では一番平和だった時期のコーカサスの写真が載っているからです。
現地の写真が多く、コーカサスが自然豊かである事がわかります。

また オセチアの記述が多く、オセチアの民間信仰や民話などについて書かれいている数少ない本でもあります。
日本ではジョルジュ・デュメジル氏や吉田敦彦氏のいくつかの著書で紹介されている「ナルト叙事詩」の英雄の一人である、バトゥラズの伝説が紹介されています。
「バトゥラズの死」については、C.スコット.リトルトン著の「アーサー王伝説の起源」にもありますが、微妙に違う内容の異伝だったのがとても興味深かったです。
こちらの「アーサー王伝説の起源」についてもいつか紹介する予定です。

バトゥラズの他に、オセチアの聖ゲオルギウス祭り(オセチア的にはワステュルジ)の様子も、キリスト教が現地宗教とどのように混合して行ったのかを知れて、とても興味深いですね。
実はキリスト教のような土着宗教/異教要素が強く残っている地域は、結構多いですが、地域差が激しいですね。

一応オセチアの場合は、10世紀にはビザンツ帝国の宣教師によってキリスト教化したっぽいです。
ただし、隣国のジョージアは4世紀前半にはキリスト教を国教と定めているため、少なからず影響は受けているかもしれませんが
※申し訳ありません。勉強不足で、この辺りの知識はいい加減です(-_-;)


このように特にオセチアに興味があるコーカサス好きにお勧めですよ。

もし気になる方がいたら読んでみてね★

…ここまで読んでいただき、ありがとうございます。



【参考文献】
・C.S,リトルトン・L.A.マルカー著、辺見葉子・吉田瑞穂訳(2017)「アーサー王伝説の起源 ―スキタイからキャメロットへ― 新装版」青土社
・大谷深(1980)「コーカサス―ロシア文学揺らんの地を訪ねて」ナウカ



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